お疲れ様です。m(__)m
閲覧ありがとうございます。
第三話になります。
まだまだ続きます。お付き合いください。
#3
(どうして僕はあそこに閉じ込められてたんだろう?)
馬車に乗っている間、ソータはずっと考えていた。外が危ないといっても誰かが自分を脅かしてくるわけでもない。では一体なぜ?と。考えても分からないが、そうしないと落ち着かない。
そのまま大きな屋敷に着くと、リューイに自分の部屋へ案内された。きちんと整えられた青色のベッドに、真新しい勉強机と椅子が置いてあるシンプルな部屋だ。ソータは窓際に駆け寄って窓を開けた。もちろんここには鉄格子などない。窓を開け放つと風が吹いて来る。小鳥の囀る声も聞こえる。目の前には豊かな緑が茂っている。今度、狩りに裏手にある森へ行こうとリューイに誘われた。
「わああ、ここが僕の新しい部屋なんだ」
ソータが喜んでいるとリューイも嬉しそうに笑った。
「気に入ってくれたようだね」
「あのね、リューイ」
ソータはリューイをまっすぐ見つめた。
「僕、メイドさんになる」
「・・・・ははは」
リューイはしばらく固まって笑い出した。ソータは何故笑われているのか理解できない。リューイはひとしきり笑ってやっと落ち着いたようだ。
「ソータは働いてみたいんだね」
「うん。僕でも出来る?」
「いきなりすべては難しいだろうけど、うちにはしっかり者の執事もいるし、きっと大丈夫だよ」
リューイにそう言われてソータは嬉しくなった。ずっとやってみたかったことだ。働いて報酬を得る、当たり前のことだがソータには遠い現実だった。
「ならメイド服を用意しないとね」
リューイが半笑いで言う。ソータにはその理由が分からなかった。しばらくしてリューイが抱えてきたのは黒いひざ丈まであるワンピースと真っ白なフリルのついたエプロンだった。髪の毛をまとめるための白いリボンもあった。そこで初めてソータは理解する。メイドというのは基本的に女性の職業だということを。
だからリューイはおかしそうだったのだ。
だが一度着てみようとソータは早速着替えた。髪の毛は後ろで一つに結い上げた。リューイはそれをまじまじと見つめている。
「いや、可愛らしいな」
「変じゃない?」
「ああ、すごく可愛らしい」
「なにかできるお仕事ない?」
メイドらしからぬ口調で主人であるはずのリューイにそう尋ねると、彼は首を傾げた。
「今日の分は終わってしまっていると思う。夕飯を食べながらそのことは決めよう」
「ありがとう」
ソータが笑うとリューイも頷いた。
SUZURIもやっています。
ランキングに参加しています。
よろしければぽちっとお願いいたします。m(__)m