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#6
「ソータ様、良く出来ました」
リューイはソータのために家庭教師を付けてくれた。一日三時間、休憩を入れながら勉強をする。
ソータは勉強にのめりこんだ。午前中は勉強をし、午後はリューイと体を動かすのが毎日の日課になってきている。メイドの仕事もヘルマンに頼み込んで始めた。(リューイはしっかり話をしておいてくれたらしい)夕飯を食べ終わったあとの食器を洗い、片付けるという仕事だ。ヘルマンははじめ不安そうだったが、ソータのやる気を買ってくれたらしく、厨房の掃除も少しだがやらせてくれるようになった。
その間にもヘルマンは他の仕事をしている。
「ねえ、リューイ」
「どうした?ソータ」
ある日の昼間のこと。リューイも伯爵というだけあってなかなか忙しい人だった。だが、ソータとこうして話す時間を設けてくれる。
「リューイとヘルマンにお礼がしたいの。どうすればいい?」
ソータの言葉にリューイは優しく微笑んだ。(笑うと鋭い牙がむき出しになるが、ソータはそれをかっこいいと思っている。)ソータがかなりの世間知らずであることはこの屋敷での常識になりつつあった。
「おいで、ソータ」
ソータは言われるがままリューイの膝に腰かけた。リューイへのこの気持ちは「恋愛としての好き」という感情であることをこの前に受けた国語の授業で知った。ソータは慌ててリューイに自分の気持ちを告げたのだが、「まだソータには早い」と言われてしまった。ソータはかなり落ち込んだが、時々でいいからリューイの膝の上で自分を抱えて欲しいとお願いしたのだ。リューイはすぐ頷いてくれた。ソータなりの恋の駆け引きというやつである。
リューイはかなり大きな獣人だ。小柄で華奢なソータを抱えるなどわけない。
「今度の休みに街へ行こうか。ソータの服も必要だし」
「街っていっぱい人がいるの?」
ソータの疑問にリューイは笑った。
「ああ、沢山の人がいるよ。ソータには珍しいかもしれないね」
「リューイは欲しいものある?」
ソータの質問にリューイは困ったように笑った。リューイ程の身分であれば欲しいものなどいくらでも手に入る。だがソータはそれを知らない。
「そうだね、ソータは面白い本を知ってるんだろう?」
「うん、いっぱい知っているよ」
「それなら本屋と文房具屋に行こう。ヘルマンにはインクが喜ぶんじゃないかな」
「リューイは何でも知っててすごいなあ」
リューイがソータの頭を撫でてくれる。
「ソータ、君の人生は君の物だ。自分で決めることが大事だよ」
「うん」
リューイは仕事を再開し、ソータは部屋を後にした。
「街かあ。楽しみだなあ」
リューイが来てくれていなかったら今でも自分は独房にいたのかと思うと寒気がする。
今の自分は幸せだ。
つづく
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