オリジナルBL小説{引きこもりでしたがお屋敷メイドになりました#2}雑談
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#2
ソータは馬車に乗っている。初めて見た外の景色は、ソータにとって驚きと感動が詰まったものだった。青い空、白い雲。そして軽やかな馬の蹄の音。すべてが新鮮で心地いい。ソータは大きく息を吸い込んだ。これも気持ちがいい。窓から顔にあたる風もまた愉快である。
「わああ、これが外の世界なんだ!」
「これを食べなさい」
ソータの向かいに座った獣人が何かを差し出してきたので、ソータは受け取った。茶色い板状のそれからは甘いにおいがする。
「これはなあに?」
獣人は驚いたらしい。ソータは自分が急に恥ずかしくなってきた。自分はあまりにもいろいろなことを知らない。
「チョコレートだよ。美味しいから食べなさい」
「いただきます」
チョコレートに噛り付くと口いっぱいに甘味が広がった。
「わ、美味しい」
「君は随分ひどい扱いを受けていたようだね」
獣人に労わられるように言われ。ソータはそうなのかなと首を傾げた。他の場所の暮らしを知らないので、比べようがない。
「あの、あなたのお名前を教えてください。どうして僕を外に出してくれたの?」
「ああ、自己紹介がまだだったね。私はリューイ。ソータ、これをご覧」
リューイが差し出してきたものにソータは戸惑った。誰かがそれに映り込んでいる。薄い灰色の肩まである髪の毛と瞳の色が左右で違う誰かだ。時折髪の毛は切ってもらっていた。
「これ誰?」
リューイは困ったように笑う。
「それは鏡というんだ。ソータ、それは君自身だよ」
ソータは改めて自分を見て驚いた。なんだか人形みたいで気味が悪いと思ったのだ。
「僕、こんな顔なんだ」
「君は美しい子だよ」
美しいと言われてソータはどぎまぎしてしまった。自分は男なのにリューイにそう言われると嬉しい。
「リューイのことも教えて」
「私はここセントリア地方の伯爵なんだ。もう間もなく屋敷に着くよ」
「僕はまた閉じ込められるの?」
リューイは首を横に振った。
「君は君のしたいようにすればいい」
「僕のしたいように・・・」
そんなことを言われたのは初めてで、ソータは戸惑った。自分の人生に今まで選択肢はなかったからだ。
しばらく馬車は走りつづけ、畑が見えて来る。そこで働いている者たちがいた。ここはリューイの領地だと教えてもらう。家々が建ちならび、だんだん賑やかになって来る。少し奥まった外れの方に大きな屋敷が見えた。
「あれがリューイのおうち?」
「ああ、そうだよ。君の部屋もある。安心していいからね」
「僕の部屋・・」
ソータは新生活の始まりに心を躍らせた。
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