お疲れ様です。m(__)m
閲覧ありがとうございます。
次回で一旦完結になります。
お付き合いいただけましたら幸いです。
#7
ソータはリューイと馬車に乗って、街に来ている。今日はリューイが休みらしい。リューイが休みなのは珍しい。ソータは嬉しくて朝からはしゃいでいた。
「リューイとお出掛け」
「ソータ、髪の毛を結ったほうがいいよ。君の綺麗な髪の毛がもったいないからね」
リューイが櫛を片手にやって来る。ソータは鏡の前に座った。
リューイが後ろで髪を結ってくれる。今日のソータは白いシャツに茶色のズボンを履いていた。シンプルだが、楽なのでソータはこの格好が好きだった。
「わああ、本がいっぱい」
本屋に入ってソータは小声で言った。リューイが噴き出している。
「本屋だからね。今度は図書館に行ってみようか」
「図書館って本を貸してくれるところだよね」
「そうだよ。きっと気に入るよ」
ソータはあれこれ本を見つめた。棚に並ぶ本を手に取っていいものか分からないので背表紙のタイトルを見て楽しんだ。どの本も面白そうでわくわくする。
「リューイはどの本が欲しいの?お金足りるかな?」
ソータは先ほどリューイから金貨を二枚もらったのだ。メイドの仕事をしている賃金だとリューイに言われた。ソータは貨幣を見るのが初めてだった。これがどのくらいの価値があるのかソータには分からない。だがリューイのことだ。多めにくれたのだろうと思った。
「ソータのおすすめはどれかな?それにしよう」
リューイに選んであげるというのが特別な感じがして、ソータは嬉しくなった。
「これにする」
一冊の本を指さすと。リューイが微笑んだ。
「ありがとう、ソータ」
本を掴んで会計を頼む。無事本が手に入りソータはホッとした。お釣りの小銭はかなりあった。どうやらこの金貨はすごい価値があったと分かる。リューイの「ありがとう」が嬉しい。
次は文房具屋だ。
リューイと街を歩くのは楽しかった。
行きかう人も同じくらい楽しそうである。
「どけっ!」
「きゃああ」
急な悲鳴。ソータは驚いた。後ろを振り返ると強面の男が走って来る。手にはナイフ。ソータは慌てなかった。ぐっと足を踏ん張って、男の服を掴む。そのまま男を投げ飛ばした。急なことに男は何が起きたのか分からなかったようだ。リューイが男を拘束する。すぐに警察がやってきた。
「ソータ、教えたことをちゃんとできたね」
リューイが褒めてくれた。それが何より嬉しい。リューイに抱き着くと抱きしめ返された。
文房具店はすぐ傍にあるようだ。ソータは全てが珍しくていろいろ眺めた。
インクを始め、いろいろな種類の紙がある。ペンにもいろいろな種類があった。
それぞれの値札を見るが高いのか安いのかよく分からなかった。
「ヘルマンはこのインクを好んでいるようだよ」
リューイが示したのは藍色のインクだった。値段は書いてないが恐らく高いだろう。ソータは震える手でインクの入った箱を手に取った。
「ありがとうございました」
無事にインクが買えてソータはまた嬉しくなった。ヘルマンはこれを喜んでくれるだろうか。このあとリューイにソータが生活するうえで必要なものを買ってもらった。
つづく
SUZURIもやっています。
ランキングに参加しています。
よろしければぽちっとお願いいたします。
m(__)m