{連載#1・イケメン猫様ズに溺愛されています}オリジナルBL小説
お疲れ様です。m(__)m
予定していた書きおろしBL小説をすこしずつですが書いていきます。
まだまだ未熟者なので温かい目で読んでくだされば幸いです。(^▽^)/
全4回を予定しています。
よろしくお願いします。m(__)m
「イケメン猫様ズに溺愛されています」
起
それはある雨の日の早朝だった。俺、佐倉翔也は青いレインコートを着てフードをすっぽりかぶっている。今日は兄さんと一緒に町内のごみ当番の見回りに来ていた。ごみ当番は、ほとんど立っているだけだ。地域の人に挨拶をしたり、時折、ゴミを沢山持っていて、大変そうな人のお手伝いをする。
俺は兄さんと一緒にマンションで暮らしている。兄さんはプロのカメラマンだ。今日もこれから出張らしい。町内で兄さんは大人気だ。優しくてかっこいいもんな。一方で俺は地味な大学生だ。家事はほとんど全部俺がやっている。兄さんの方が家事も上手いけど、俺にできることはちゃんとやりたい。
ああ、お腹空いた。家に帰ろうとしたら段ボール箱が道端に不自然に置かれていた。ゴミかな?と思って近づく。ゴミ捨て場を間違えたのかも。
「翔也?どうした?」
兄さんが声を掛けて来る。俺は段ボールの蓋を開けて固まってしまった。子猫が二匹、こちらを見上げながら鳴いている。
くりっとしたつぶらな目が可愛い。子猫とは言っても生まれたばかりではない。見たところ少し大きいようだった。一匹が黒猫でもう一匹はきじとらだ。
ウチはペットを飼っていいことになっているマンションだ。兄さんを見上げるとしょうがないなと笑われた。
段ボール箱を抱えて、家に戻る。
猫たちはずっとにゃあにゃあ鳴いている。可愛いけどこの子たちには何を食べさせたらいいんだろう?そもそもお腹空いているのかな?動物なんて飼ったことがないし、これから飼えるかもわからない。もし飼えないなら、ちゃんと育ててくれる人を探さないとな。
「翔也、俺もう仕事に行くな?悪いけどあとは頼む。なるべく早く帰ってくるから」
兄さんは本当に忙しい。俺は手を振って兄さんを見送った。
「お腹空いたんだけど」
「え?」
振り返ると俺と同じくらいの年の猫耳の男の人が椅子に座っている。え?どちらさまですか?
「俺も減っている」
はい?こちらにも?二人共、モデルかってくらい顔が整っているな。それを見てどきどきするのは俺がゲイだから?ここで何が起きているのかさっぱり分からない。二人とも猫耳が付いているってことはさっきの子猫たち?嘘だろ?人間の姿になったっていうのか?そんな不思議なことが起きるなんて俺は夢でも見ているのかもしれない。思わず頬をつねったら痛かった。やばい、現実だ。
「主人、これからもよろしくにゃ」
そう、きじとらに言われてにやりと笑われる。分からないことはとりあえず置いておいて、飯の用意をしよう。俺だって腹減ってるし。二人には適当にツナ缶を出した。一人二つずつだ。
「主人、マヨネーズ」
「俺は醤油がいいな」
おいおい、猫なのに調味料いるのかよ。渋々マヨネーズと醤油を冷蔵庫から取り出した。
「ありがと!」
「ありがとう」
にぱっと二人に明るい笑顔でお礼を言われて俺は困った。やっぱり現実なのか、これ。
「主人の名前ってしょうや?」
「うん」
「じゃあ僕たちにも名前を付けてしょうやが呼んでよ」
え?この子たち、名前ないんだ?生まれてから結構経ってそうなのに。その事実に愕然とした。人間に不慣れなわけでもなさそうだし。
「僕らはペットショップの売れ残りだからねえ」
「行き遅れたな」
ふふと黒猫が笑う。
「兄さん、笑い事じゃないでしょ」
きじとらが不服そうに声を上げた。そうか、捨てられたんだ。
時々ニュースでも多頭飼育がどうのってやるけど、こんなに身近なことだとは思っていなかった。
俺は二人に言った。自然と声が出ていた。
「きじとらのお前がマオで、黒猫がレオ」
「え、それもしかして、僕たちの名前?」
ぱああとマオが顔を輝かせる。
「そうだよ、だからいい子にしててね」
「しょうや大好きー!」
マオに抱き着かれて顔をぺろぺろされた。愛情表現は猫なんだな。
レオに抱き寄せられる。レオは体が大きかった。
「マオ、お前は人間の作法を知らなすぎる。人間はこうだ」
レオに唇を奪われていた。レオ、君も間違ってるけどね?イケメンとキスするのは恥ずかしいけど相手は子猫だ。ノーカンだよな。
「兄さんばっかりずるい!僕もしょうやにぎゅってする!」
俺が大学に出掛けるまでずっとこんな調子だった。やれやれ。
つづく
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