オリジナルBL小説{三千年の愛}一部有料
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「三千年の愛」
1・朝はどうしてもバタバタする。鏡の前で一生懸命、寝癖を直してると、妹の美保(みほ)があくびをしながら階段を降りて来た。
「お兄ちゃん、もう寝癖なおってるよ?」
「ちょっと気に食わない」
「え、そう?」
美保が困惑したように言う。でも俺の髪の毛ってこんな感じだったような気もしなくもないか。もうご飯食べよう。俺は諦めて鏡から離れた。
「蛍(ほたる)、おはよう」
「おはよう、母さん」
俺の名前は池井(いけい)蛍(ほたる)。高校一年生になる。母さんが用意してくれた朝ごはんをかきこんでいると、インターフォンが鳴った。それに俺は毎朝ドキッとしてしまう。母さんがすぐさま玄関に向かう。今日もあいつの声がする。
「おはよう、瀬戸(せと)くん。今日も早いのね。上がって。蛍なら朝ごはん食べてるわ」
「お邪魔します」
瀬戸の足音がこちらに近づいて来る。毎朝、俺はそれにドキドキしてしまう。
「おはよう、蛍」
「うん、おはよ」
身長が高くて体格のいい瀬戸はバスケ部に入っている。うちの学校はそれなりにスポーツ強豪校なのに、一年でもうレギュラーだ。すごいと思う。成績だって上から数えた方が早い。俺はそんな瀬戸が大好きだ。三千年ほど前から。俺は前世の記憶を持って生まれて来た。俺がいた過去の世界、それは今でいうところのエジプトで、俺はそこで王子だった。ずっと瀬戸を好きだった俺は、王位を継ぐことを手放して神官だった瀬戸と一緒に暮らしていたようだ。瀬戸が何者かに暗殺されてしまうまでは。俺はあの時の衝撃が今でも忘れられないでいる。大切な人を亡くす悲しみはなににも代えられない。俺はようやくご飯を食べ終えて弁当をリュックに入れた。
「行ってきます」
「気を付けてね」
二人で通学路を歩いていると、瀬戸があ、と声を上げた。
「ねえ蛍?今度の日曜空いてる?」
「空いてるもなにも瀬戸は部活じゃないの?」
そう尋ねたら瀬戸が笑った。
「もうすぐテストだろ?」
「うわあ、そうだった。じゃあ部活が休みになるのか」
「そう。試験勉強も一緒にしたいけど蛍と行きたいところがあってさ」
「どこに行くの?」
瀬戸が笑う。
「古代エジプト展だって」
ドキッとした。俺の記憶が蘇る。瀬戸と一緒にオアシスでくつろいだあの頃。ただいるだけで幸せだった。
「蛍は嫌かな?もしかしたらつまらないかも」
瀬戸が不安そうに言う。俺は慌てた。
「そんなことないよ。一緒に行きたい」
瀬戸がホッとしたように笑った。
「じゃあまた詳しい日程はラインでおくるから」
「うん、ありがとう」
これって、デートだよね?遊ぶたびにそう思ってるけど、瀬戸は俺相手じゃドキドキしてくれないんだよな。転生するくらいなら、せめて美少女に生まれてきたかった。
「じゃ、あとで」
「うん。部活ガンバ」
俺は瀬戸を見送った。たくましい背中が見えなくなるまで見つめていると、誰かに肩を掴まれる。この人は。
「よう、子猫ちゃん。またダーリンの見送りかい?」
「ダーリンって瀬戸は友達ですよ?薫(かおる)先輩」
「でも毎朝、寂しそうに見つめてるから彼が気にはなってるんじゃないか?」
ううう、薫先輩妙に鋭いな。この人は、俺が所属している手芸部の部長さんだ。めちゃくちゃ手先が器用でコスプレ用の衣装をオーダーで作ったりしているらしい。すごい。
「子猫ちゃん、とりあえず来てくれ」
「え?」
俺はいつの間にか薫先輩に引きずられていた。握力つっよ。
***